2010年9月12日日曜日

子犬にとって最も大切なこと-2

さてさて,みなさん,昨日の続きでございます.
初期教育がいかに重要かということですが,まず,みなさんに質問です.
みなさんの愛犬ワンコちゃんは,生後どれくらいでお家に迎え入れられましたか??
産まれてすぐですか?それとも,生後1ヵ月?2ヵ月?
おそらく,みんなそれぞれでバラバラでしょうね.

日本では,アメリカやイギリス,ドイツなどの先進国のように,ワンちゃんを生後どれくらいで譲り渡していいかという法規制(先進国には法律があるのです!!)が全くないので,いつの時期でもかまわないのです.
でも,おかしいですよね.先進国では,きちんと法律で定められているのに日本にはないなんて・・・
では,どのように法律で定められているのでしょうか?

答えは,だいたい生後8週齢から10週齢以下の犬は親元から離してはいけない,というのが多いです.
何故かというと,この時期が実は「社会化の感受性期」といって,子犬がこの間に経験することが,その犬の行動,精神(情緒)の発達に著しい影響を及ぼすからです.
従って,この大切な時期に,親元から離されて,一緒に生まれた兄弟からも引き離されて,知らないところへ連れて行かれると,その子のこれからの社会的な行動に悪影響を及ぼすとされています.
人との社会的な絆もこの時期に形成されるといわれているので,本当に大切な時期なのですね.

更にいうと,この時期にしっかりとした社会化教育ができていなければ,その子はいずれ何らかの問題を抱えることになりますし,この時期が終わってしまってからの社会的行動の修正は大変困難だといわれています.
本当に三つ子の魂百まで(ワンちゃんの10週齢くらいは,人に換算すると3,4歳です)とはよくいったもので,その通りなのですねぇ.
初期教育の重要性は,人も犬も同じで,何ら変わりはありません.

要は,初期教育である社会化教育は,犬ではブリーダーや母犬の飼主の方の責任で,人では両親の責任ということになります.
この大切な時期を逃さないために,先の法律があるのですね.

そうすると,次に実際にお家に迎え入れられた後は,どうすればいいのでしょうか?
そうです,その後がとっても大事ですよね.
昨日述べた欧米での安楽死事情ですが,現実,その後のしつけ(まだ社会化の感受性期であり,これも初期教育です)の段で,しっかりとした教育ができていない子が,やはり問題行動を起こすようになり,結果として安楽死という最悪の選択をしなければならなくなってしまうわけです.
死因の第1位が安楽死なのですから,人間の罪といっても過言ではないでしょう.

そうならないためには,どうすればいいか.
そうです,社会化教育を実際にご家族のみなさんで行っていただくことになるのです!!
でも,心配しないでください.
幸いにというか必然的にというか,お家に来てから間もなく動物病院に行く機会が訪れます.
そう,予防注射などでの来院です.
動物病院は,ワクチン接種機関ではありません.
最初に,ご来院された時には,これでもかっていうくらいに,その子のことを身体全体から精神状態,ご家族との絆の度合い,来院時点での性格,情緒の安定度などなどをくまなくチェックします.
これはどの病院でも行われますから,その時にためらわずに遠慮せずに何でも色んなことを質問してください.(繰り返しますが,この時期を逃すと後はありませんからね)
そして,パピーパーティーや犬の保育園(幼稚園)を併設している病院であれば,是非それに参加してください.
この時期のワンちゃんは,他の様々な種類の犬と触れ合うことがとっても重要です.
一緒になって,遊んで転がって,ひっくり返って,かけっこして,こんがらがって・・・と,様々な経験がその子の脳にすりこまれて体得していきます.
犬同士のルールというのを現場で体感していくわけです.
もちろん,その場に獣医師や動物看護士や専門のトレーナーさん,しつけの専門家の方がいることが条件になりますが,併設している病院であれば大丈夫でしょう.
そういう現場体験を出来るだけ多く(週に2回以上が理想)持ってあげるといいでしょう.

これって,人も同じですよね.
私たちも,あんまりよく憶えていないけれど,保育園や幼稚園で,そして,近所の友達たちとで,そういう経験をたくさんしてきたのです.
社会性のある犬は,どの場所でもどの人とでも喜んで受け入れます.
それは,犬にとって大変大きな利益になります.
そうです,この利益がその子の生存年齢にとっても大きく影響するのです.

当院では,ブラウン園長をはじめ,茶々先生やマリちゃん先生たちとたくさんの仲間たちで,ブラウン保育園を毎週火曜日と木曜日に開催しています.
もちろん,それ以外の日でも誰かが必ずいるので,保育園OKです.
たくさんのワンちゃんたちと触れ合うことで,感受性が豊かになり,社会性が身に付いてきます.
お近くの方やお近くでない方でも,どうぞ一度のぞきにきてみてください.
大大大歓迎です~~!!

これから日本でも先進国のように法律の整備が進んでいくと思います.
まだまだ,日本はその点において,はるかに後進国です.
もっともっと,少しでも人とワンちゃんと猫ちゃんとが幸せに暮らしていけるような社会にしていくためには,初期教育をはじめとした教育をしっかりと理解していかなければなりません.
そのことにより,不幸な犬や猫たちを減らしていくことができるのではないかと思います.

犯罪の低年齢化や凶悪化は,既に看過できない状態になっていますね.
ワンちゃんは人間の縮図であるともいえます.
教育は国家百年の大計です.
人の教育,犬のしつけ・社会化教育などを,もっと3次元的に考えて行けば,そこに答えがあるのではないかと思います.
(ちょっと真面目なブログになってしまいましたね・・・)

今日は以上です.
社会化の感受性期についてのお話は,また,いつかブログで紹介しますね.
どうぞお楽しみにしてください!!

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