2009年5月5日火曜日

近頃の猫ちゃんの病気編 その2

近頃の猫ちゃんの病気編 その2は,ホルモン疾患です.
その中でも特に皆さんにあまり知られていない?(そんなことはないですか?)けれども中高齢(6歳から20歳)の猫ちゃんには意外と多い甲状腺機能亢進症についてお話します.

猫ちゃんにもワンちゃんにも,もちろん我々ヒトにものど元に甲状腺という器官があり,甲状腺ホルモンを作っています.
このホルモンは普段何をしているかというと,身体の新陳代謝(酸素の需要量やカロリーの要求量など)をコントロールしていて,生きていくためには絶対に必要なホルモンなのです.
この甲状腺が,どうも中高齢になってくるとおかしくなるようで,「甲状腺機能亢進症」として発症する子が近年増えています.
原因は,甲状腺が過形成を起こしたり腫瘍化したり(ほとんどが良性)してホルモンが過剰に分泌されることによるもので,症状としては,もういい年なのに異常に食欲があるんだけど痩せてきた,じっとしているのに何だか妙に呼吸が速い,異常に活動的で落着きがない,年寄り猫なのに若い猫みたいに発情しているようだ・・・などなどが挙げられます.
つまり,甲状腺ホルモンの過剰により新陳代謝が亢進して,常にエネルギーを消費している(例えば安静にしていても身体の中ではダッシュで走っているみたいなもの)状態になります.

でもどうでしょう?
この症状だと「この子は歳はとってきたけど,いつまでも子供猫みたいで元気よねぇ~」なんて思っちゃったりしないですかね?
実際,アンケートの結果を見てみても,そのように思われている方が結構多いみたいです.
つまり,病気であるという認識にあまりならないということですよね.
じゃあ,この病気をこのまま治療せずにいたらどうなってしまうのでしょうか?
答えは簡単です.最後は燃え尽きてしまうのです.
つまり,身体の脂肪を燃やし(代謝)つくしてタンパク質(筋肉)を燃やし(代謝)つくして,心臓は働きすぎて肥大してもはや働けなくなり・・・・という状態になってしまうのです.
実は大変怖い病気だということがおわかりになると思います.

それでは,どのようにしてこの病気を発見するかというと,猫ちゃんが中高齢になったら甲状腺ホルモンの測定を健康診断などの機会に行うことが一番確実です.今はどの病院でも猫ちゃんの甲状腺ホルモンを測定できる時代になりました.(こんなに早くそんな時代になるとは,むかしは考えられなかったです)上記のような症状が出ている子はもちろんのこと,明確な症状がなくても中高齢になったら健康診断のたびに測定しましょう!

治療法には,内科的治療と外科的治療があります.
内科治療は,お薬により甲状腺ホルモンの数値を下げて症状を軽減し,心臓病を併発している場合は心臓の治療も同時に行っていきます.
外科治療は,大きくなった甲状腺を切除・摘出する手術を行います.多くは,内科治療を先行した後に行います.
どちらを選択するかは,その時の猫ちゃんの状態によって決めていきます.

さて,みなさんどうでしょうか?
我が家の猫ちゃんで思い当たる子はいませんでしょうか?
ただ,同じような症状が他の病気にも見られるので,思い当たる場合でも健康診断をきちんとお受けになられることをお薦めします.(主治医の先生から必ず言われると思います)
ちなみに,Dr.Joy家の吉衛門ちゃん(女の子です!過去ブログ参照)も甲状腺機能亢進症ですが,お薬による治療が功を奏して,18歳の今でも毎日楽しく暮らしてくれています.

この病気もご家族のみなさんと病院との連携プレーでコントロールして行きましょう!!
それでは,その3以降をご期待下さい.

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